2015/11/18

【MOTHER プレミアム】イタリアンレザー×異次元の「型押しクロコ」

こんにちは! 店長の井野です。

本日は新作のひとつをご紹介して参ります。
「薄くていつでも身につけられる長財布が欲しいんです!」
という、ワタクシの希望を形にしてくれたのが、東京で三代続く財布工房「レディオアオーダー(ROO)」代表兼クラフツマンの井戸崇史さん。そして出来上がった財布が、2015年の大ヒット商品となった薄長財布「MOTHER ZERO」です。
発色鮮やかでしなやかな馬革を使ったこの商品。収納力よりも携行性の良さを重視し、何度も試作とテストを重ねて作り上げました。持ち歩くカードの枚数を、7枚に絞り込み、かつお札を折らずに仕舞える長財布の良さも継承。小銭も必要十分な量が仕舞えます。
reading002_001 店長もテスト版を(激しく)使い込み、鮮やかなターコイズだった当初から、しっとり落ち着いた、ダークな…ターコイズ?…へ…エイジング…。
reading002_002 中身も荒く使い込んでこんな感じに…。
(ちなみにこのテストサンプルの内革はサーモンピンク…)
大容量の長財布からいろんなものを「引き算」し、カードや紙幣をたくさん持ち運ぶことには不向きですが、これひとつ持っていれば、日常生活は完全に事足りてしまいます。ちなみに、比較的大きな1万円札が入る様に設計されたこの財布は、海外旅行にも最適です。常に一緒。財布としての原点を追求したこの財布は、使い込む程に手放せないアイテムとなりました。
さて、そんな携帯長財布としての優れた仕様をそのままに、MOTHER ZEROのさらなる可能性を求め、井戸さんと新素材を追い求める日々。ある時、出会ったのが、クロコの型押しレザーでした。
見たことのない異様な質感…。

型押しというより、一本一本の筋が彫り込まれたような深いエッジ感…。
reading002_003 その名も「カットクロコ」。
これを手掛けたのは、型押しをはじめとするレザーの表面二次加工を50年手掛けてきたプロフェッショナルである東京の墨田キールであることもその時知りました。
井戸さんと墨田キールを訪問し、MOTHER ZEROのカットクロコ版を作るための模索が始まりました。
カットクロコは、イタリア製の特注金型で作られています。

通常のクロコ系型押しと違うのは、金型の刃の入り具合が非常に深く、金型に熱をかけて刃をいれるので、ウロコのエッジに程よい焼けが入ります。結果、輪郭がハッキリとした、文様が浮かび上がるのです。
reading002_004 難しいのが、ベースの革の選択。どれでもいいわけではないのです。マザーゼロの形にする際には3mmの厚さまで革を漉きます。ただでさえ刃を深く入れるので、折り曲げた時に切れてしまう革は商品としてNGです。
条件として、革の構造の一番下側となる「床革」の繊維がしっかりしていてコシがあり、刃が深く入っても裏で切れないもの。かつ金型に熱を入れる型押しでも革の持つ透明感と、微妙なムラを失わない質感…。
このふたつを完璧に満たす革を模索し、たどり着いたのが、イタリアMPG社が手掛ける、植物タンニンなめしの名革「シエナ」でした。イタリアの職人が発色にこだわって1枚ずつ仕上げる、非常に美しい革です。
墨田キールの職人・長谷川さんと井戸さんは、何度も試作を重ね、このシエナがさらに魅力的な質感へと変わる一瞬…その条件を突き詰めていきました。
reading002_005 その結果、90℃まで熱したカットクロコの金型で12秒プレス。革表面がほんの少しだけ焼け始める、ギリギリの調整です。井戸さんが理想とするイメージと、革の特性を知り尽くした長谷川さんによる経験・技術が、「シエナ×カットクロコ」という異次元の型押しを形にしました。
reading002_006 ここからは井戸さんを筆頭とした、ROOの職人集団が精緻な仕事で、MOTHER ZEROの形へと仕上げていきます。
reading002_008 今回はシエナの美しさを堪能できるよう、裏革には型押ししない、通常のシエナを同じカラーで使っています。内革で使うと、馬革よりも張りがあり、財布としてソリッド感を楽しめます!
reading002_007 難しいのは、表面の縫製です。カットクロコは型押しの筋が深いためミシンを掛けた際にステッチが溝に入ってしまうラインもあります。それでも、まっすぐに、歪みを極力抑えていくため、かなりゆっくりとした速度でミシンの針を入れていかねばなりません。効率が悪く、大量に作れないのです。時間をかけ、ゆっくり、丁寧に──。
reading002_009 完成したのがこの「MOTHER ZERO プレミアム」。財布に中身を入れるとやや膨らんで緩い曲面が出来るのですが、そのときにウロコの一つ一つの表面が光を乱反射して、実に美しい姿を現します。これこそ「所有する歓び」を感じられる一瞬ですね。
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さて最後に…

どんなモノにもメリットとデメリットがあります。 購入をご検討いただく方に、あえてMOTHER ZEROプレミアムのデメリットもお話ししておきましょう。
●傷がつきやすい

シエナの革の特性上、型押しは入りやすいのですが、表面が柔らかくないので、小さな傷はどうしても入りやすいです。外革のカットクロコは、エイジングしていきますので、所有する人の「味」となっていきますが、内革のファスナーがあたる部分などは、使い込む程に凹みなどが目立ってきます。革は金属や樹脂などと違い、製品となってからも持ち手のスタイルで姿が変わる生き物です。シエナはさらに艶のある革だけに、傷、凹みはどうしても目立つことはご了承ください。
●カードの出しにくさ

MOTHER ZEROは、万能型の財布と比べ、携行することに寄せたため構造的に無駄なマージンをかなり削ぎ落としています。また馬革より硬めの特性を持つシエナということも関係してきますが、7箇所のカードホルダーのうち札入れ内の4箇所はカードが出しにくく感じる方もいるかもしれません。これは使い込んでいくうちに革が少し伸びていくことで解消されていくことが確認出来ています。
またよく言われるのが、フラップ側(マネークリップ側)の3枚のカード入れは、革が伸びて来た際のカード脱落を防止するため、あえて中央に向けて出し入れするよう設計しています。ここは最初、使い勝手の部分で違和感を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。設計としてあえて落とすことを防ぐ「安全」の部分をとった結果です。
何を隠そう、ワタクシも「なんで?」と思ったその1人でした。しかし、使い込んで行く内に、なぜ井戸さんがそのような仕様で作ったのかということがよく分かってきましたし、なにより、この構造に慣れてしまい、今では手放せなくなりました。
人とは違う、いい質感の財布をお探しの方、この機会にぜひご検討くださいませ〜!
サイズ W185×H95×D16mm
重さ 160g
価格 34,560円
素材 シエナレザー
備考 カード収納枚数:7~10枚
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店長 イノ
ホン・モノ・ケイカク店長。商品プロデュース担当&バイヤー。大学卒業後から一般誌やモノ系雑誌などのさまざまなメンズ系雑誌編集経験を15年経て、雑誌から発信するセレクトショップを立ち上げる。プライベートでは海川問わず釣りを愛する。一児の父。